塾用サブスク教材で失敗した話

ワンオペ塾のumaです。小さな学習塾経営で生きていくアイデアを発信しています。

今日は「塾用サブスク教材をいろいろ試したけど、経費かさんで失敗した」ってお話です。

映像配信サービスで高校コースを作ろう!で失敗

もともとは小学・中学コースのみではじめた当塾ですが(現在は中学のみ)、長くやっていると「やっぱり高校コースもつくろう」「卒業生をつなぎとめて売上アップだ!」「中3生や保護者に高校コース作ってと頼まれるし」などと新しいことを始めたくなりますよね。

でも高校コースとなると当然「大学入試」が絡みますから、片手間ではできないわけです。マンパワーに限りがある当塾では「よし!映像配信のサブスクを契約してパソコンで視聴してもらおう!」と安易に考え失敗しました。

経費がかさみ利益率が悪い

とにかく経費がかさむのです。うちが利用したのは「基本料金4万円」「生徒ごとに数千円」「視聴講座ごとに数百円」のような料金体系でしたが、全然利益にならないわけです。

では利益がでるような料金体系にすればよいのでは、となりますがそれなら大手のサービス「スタサプ」で自力でやれば月額2,000円程度ですから塾は不要です。ある程度の金額に抑えなければ、太刀打ちできません。

もちろん進路指導などのサービスをつけたり、教室の空間を提供することで集中力が増しますよ!といううたい文句はできますが、生徒にとっても塾側にとってもメリット感のある料金体系にするのが難しかったです。

結局手間がかかる

パソコンで動画を見せるだけではダメなんですよね。当然でしょうか。

まず「どの講座を見せるべきか」を選定しなければなりません。学力状況や目標レベルに応じた講座を、となりますが一度自らが視聴しなければ確定できません。手間がかかりますよね。

あとは進捗管理や理解度チェックのために各種テストを見ながらフィードバック。大学入試にもなれば進路相談のための情報収集も膨大となります。もともとやってきた教室長のみなさんにはあたりまえなことも、僕の場合イチから勉強しなければなりません。

そして質問応対。映像だけではどうしても疑問点が出るようで、塾である限り対応しなければなりません。科目も多岐にわたりますから、正直言って僕も答えられない科目が出てきます。

そして意外と多いのが「寝てしまう」生徒。ライブ授業と違い緊張感の維持が難しいです。

パソコントラブルに対応する手間

パソコン操作中に固まったり、通信状況が悪かったりでグズグズするのもシンドかったです。映像授業用の席がある一方で、個別指導用の席で授業をやっていると「先生、パソコンが動かないです」と高校生がやってくる・・・対応に追われていれば個別指導の授業をストップせざるを得ません。

他の生徒に迷惑をかけてしまうのは深刻です。「中学までは個別指導だったのに、高校からは映像授業なのかぁ・・・」と落胆する生徒も多く、結局3年程度で「高校コース」から撤退しました。

ゲーミフィケーション教材でワンオペ教室を!で失敗

1人で10人以上の生徒を同時に担当できる個別指導?

パソコンさえあれば1人の教室長で10人以上の生徒を管理できる「ゲーム性を取り入れた映像教材」を利用したこともありました。

個人別にタスクをこなし、解説授業も演習問題も受けられる。教室長が進捗をパソコンで一元管理。これは最高や!となって飛びつきましたが、結局失敗しました。

またもや費用です。こちらも契約金に数十万円プラス1名当たり数千円ですが、高校コース同様「パソコントラブル」「質問応対」に結局マンパワーを割くことになります。

そして操作がうまくできずにストレスをためる子がいたり(文字入力がだいぶあるのと、入力ミスで一からやり直しなど)、筆記テストに成果がつながらない場合もあり(結局、定期テストは「紙」ですからね)、効果に疑問を持つようになり撤退。

教室として「AIで学ぶ!」的な売り方をしていましたが、3年程度で「従来の個別指導塾」にリニューアルしました。

サブスク教材は「定期テスト」に対応しにくい

サブスク教材のほとんどは「全国標準」ですよね。うちの塾のボリュームゾーンである「中学生」にとって「定期テストにどんぴしゃりな教材」をやれないのはニーズにミスマッチです。

「学校の成績アップ」がメインのニーズですから、やはり教科書準拠のテキストをやりこんでノートチェックしフィードバックする・・・動機付けも含め、マンパワーが必要だなというのが僕の結論でした。

「売上」ではなく「利益」がスケールしているか

たしかにサブスク教材は使い方によっては「面白いな」「きちんと運用できれば成果につながるな」というものがほとんどでした。

その一方で、「売上アップに資する」だけではダメだと気付きました。「これによって利益が上がっているか」「伸びているか」が重要です。

例えばこれらのサブスクを「塾生に対するオプションで付加する」「無料で付加する(ように見せて授業料に一部転嫁する」などは、僕は本末転倒だと思っています。

そのサービスを使っているうちに生徒が「これなら塾にわざわざ来なくても自分で契約して家でやればいいな」と思ったら即退塾でしょう。親御さんもコストにシビアです。良かれと思って始めたサービスが、生徒にとって(塾経営にとっても)安直な行動につながってしまう要因になるなら、サービスとして間違っています。

新しいサービスを始めて、新しい市場を広げよう!で失敗しないよう、皆さんのトライアル&エラーの前に参考になれば幸いです。