「小さい塾」を逆手に取った経営戦略

塾経営

大手塾と同じことをやっていては、物量で負けます。それに、目指すところが違うわけですから、戦略は別であるべきです。

では、大手塾がやっていることは何でしょうか?

・とにかく生徒数をかき集める
・合格実績を外部に打ち出す
・さまざまなコンテンツで広範囲のニーズを満たす

こういったところでしょうか。

ではワンオペ個人塾の生き残り戦略は・・・その逆をいけばいいわけです。

・生徒数が少なくても維持できる仕組み
・合格実績にとらわれない魅力
・特定のニーズに徹底的に答える

ひとつずつ見ていきましょう。

徹底的にコストカットし「小さくても骨太な経営」

ご存じの通り、学習塾のコストのほとんどは「人件費」です。以前、僕が人を使って経営していたときの労働分配率は軽く50%を超えていました。

ワンオペ塾であれば人件費はもちろん、人材育成と管理にかかわる時間コストもカットできます。この管理コストは零細企業にとっては負担が大きく、

・給与計算、社会保険や所得税の算出、法定調書の作成と提出
・年次有給の管理とコスト(最大で年20日/人の有休)
・年末調整と還付金の算出

これらを会社の持ち出しでやるのは本当に負担が大きいものです。

ワンオペ塾ならすべてゼロで済みます。大規模塾をつくる野心と引き換えとなりますが、そもそも「大手塾」と同じ道を選んでいては相当の消耗戦となります。再現性は低く、オススメできません。

オススメは、やはり「規模の小さい骨太経営」のワンオペ個人塾です。折込チラシは開校3年まで。立派なパンフレットは不要、ウェブサイトは自作でOKです。コピー機ではなく複合機プリンターで十分。コストは最低限でいきましょう。

「定員30名」など特別感を演出

合格実績にとらわれない、個人個人のニーズにこたえる塾であるには、やはり「地元密着」「大手にはできないフットワークの軽さ」です。定員を「30名」など具体的に示し、希少価値を外部にアピールしましょう。

他に「小さい塾」であることを逆手に取った武器が2つあります。

・ウェブサイトでローカル情報を発信し続ける
・LINEで保護者と双方向にコンタクトが取れる

大手塾のサイトはそんなに頻繁に「一つ一つの教室」情報をアップできません。大手塾のように「講習会など画一的なお知らせ」だけではなく、地域の高校受験情報や家庭学習法・子どもへの動機づけアドバイスを発信しましょう。

また保護者への啓発や教室の賑わい感を伝えつつ、「自分の人柄アピール」を交えて頻繁に更新しましょう。SEO対策(ウェブサイトが検索上位に掲載される)にもなります。自塾ホームページは簡単に作れます。

また、LINEで保護者とつながることで、ちょっとしたことでも相談を受けられる手段をもっておきましょう。保護者は「今電話すると、先生に迷惑をかけてしまうかも」と躊躇する方が多いです。不安に思うことも、LINEなら時間帯を気にせず送信できますよね。

深刻な事態になる前に黄色信号をキャッチできるのは重要です。こちらからも授業報告はもちろん、提出物の催促や請求書の添付など、キビキビとしたやりとりができるのも効率的です。

全部をやろうとしない経営

ここでも書いたように、一人でできることには限りがあります。自分の得意分野に特化し、生徒を選ぶのもワンオペ塾にとっては大切な経営判断です。

やらないことを決めましょう。そして「やること」に集中し、泥臭く徹底的にやりましょう。「狭く」「深く」で、大手にはできない「あなただけの塾」を地域に芽吹かせてください。