学習塾の開校は「場所」がすべて

開業マニュアル

徹底的にロケーションをリサーチ

学習塾の開業を決意し、家族の同意があればすぐにテナントのリサーチを始めましょう。

資金の捻出は、そのあとで間に合います。

学習塾に適した場所は

・駅前より住宅街
・地域の保護者がよく利用する場所のそば(スーパーの向かいなど)
・駐輪場が確保できるところ(地域によって駐車場1台分)
・近隣にパチンコ屋・居酒屋・消費者金融がない
・正面看板が設置できる(場所によっては突き出し看板も)
・1階のテナント(地域によって2階でも可)
・(できれば)土地勘があるところ
・(できれば)自宅兼テナント

がオススメです。

塾は「低コストで始めて、じっくりと」

規模を求めず「小さく」学習塾をはじめるには、駅前の商業ビルや高いテナントを借りるのはコスト面でリスクが高く、大手塾との競争が激しいものです。いくら自分に自信があっても、そういった場所での開業は避けるべきと考えます。

駅前商業ビル:敷金6か月分・保証金や共益費など高額
ターゲット中学校近辺の住宅地:敷金1~2か月分・共益費なし・自宅兼テナントがねらい目

とにかく「大手」と張り合っては、物量にまさる相手に太刀打ちできません。知名度ゼロからスタートするわけですから、低コストでじっくりじんわり市場に認知してもらうしかありません。

コストを抑えて1人ずつファンを増やしていく・・・あせらずじっくり続けましょう。

大手塾が出せない場所を狙う

とはいえ、まったく人に知られない僻地で隠れ家的に塾を始めては意味がありません。

テナントは「スーパーの向かい」など、その地域の保護者が目にする場所かつ住宅地がおすすめです。とくに住宅地で中学の学区が1つしかターゲットにならない場所は、大人数の塾生確保が見込めないので大手塾は出店できません。僕ら「ワンオペ個人塾」は、こういった「大人数を目指さない」ブルーオーシャンを探すべきです。

地域の皆さんが口コミで「あぁ、あの●●の向かいの塾ね!」など、口頭で場所が伝えられるような場所が理想です。

学習塾、とりわけスタートアップでは、知名度のない塾のアドバンテージは「通いやすさ(自宅に近い)」につきます。送迎が難しい等のご家庭の生徒さんを、どれだけ囲い込めるかが立ち上がりには重要です。

看板設置とガラス面の確認

テナント契約の前には必ず「看板設置が可能か」確認するのを覚えておきましょう。開校時に「あぁ!学習塾ができるんだな!」と、はっきりわかるような目立つ看板をつけるのが必須です。それができないテナント(独自看板が禁止されていたり、十分な接地面が無い等)ではどんなに場所がよく家賃が安くても避けた方がいいです。まずはめぼしいテナントに看板の接地面があるかをチェック。

また、正面はガラス面が大きい方が、季節ごとの告知(新規や講習会生の募集)貼り紙を頻繁に変えることができます。ガラス面はラッピング型のカッティングシートを貼るのも目立ってよいのですが、一階テナントでは、あえて中の様子が見えるような作りをするのもよいです。飛び込みの問合せが来やすくなります。

施錠がシャッター式のテナントは避けた方がいいです。せっかくガラス面のテナントでも営業時間以外の宣伝ができなくなります。

車の交通量が多いか、歩行者が多いかによって袖看板(突き出し看板)も必要かもしれません。その場合は、設置面があるかも確認しましょう。

場所によっては置き看板(パンフレットが設置できるもの)や、のぼりも有効です。ただし毎日の出し入れが必要になりますし、強風のときにはしまう必要があり手間がかかります。ご注意を。

住宅兼用の教室なら経費的に有利

1階が教室で2階が居住スペースのテナントがあれば最高です。

2階を事務所代わりに利用することで、自宅の家賃や光熱水費を経費で落とすことができます。(どれくらいを仕事に利用するかを按分し、根拠を明確にしましょう)

また、通勤時間がゼロなのも魅力的ですよね。

生活圏で生徒や保護者に出会うので、少し窮屈に感じるかもしれません。普段から身なりを清潔にしましょう。

北海道のuma
北海道のuma

牛丼屋さんやコンビニの店員さんが生徒の保護者だったことがあります。不意を突かれるので、焦りますよね。

ロケーションは「昼」も「夜」もチェック

人の流れがどうなのか、昼間と夜とで違っているものです。

近隣に飲食店がある場合はなおさら。また、夜に極端に暗い(周りに照明がない)と生徒も保護者も入塾に不安を持ちます。必ず夜の様子を見てまわってから場所を決めましょう。

教室が商業テナントの2階になる場合は、階段が薄暗い・一目につきにくいなどは避けましょう。3階以上のテナントを契約するのはNGです。「我が子が一人で通う場合、不安はないか」を親の目線で、教室までの動線を入念にチェックしましょう。トイレが和式だと使えない子がいるので却下、他のテナントと共用トイレもトラブルや事件が怖いのでやめましょう。

意外とトラブルの多い「塾の駐輪・駐車問題」

ほとんどの生徒は自転車で通うと思いますが、駐輪スペースがないと近隣とのトラブルになります。

また、駐車場(送迎が多い地域は停車スペース)が確保できているかもチェックが必要です。面談にくるお客様のために別途月極駐車場を借りるとコスト高になりますので、テナントに1台分の駐車場が含まれているのが理想です。

駐車場がないテナントでも、近くに有料パーキングがあれば大丈夫です。(費用はお客様負担でいいと思います。前もって伝えておくかウェブサイトで掲載しておけばトラブルは防げます)

まったく駐車・停車するスペースがないと、狭い道路なのに路上駐車したり、近くの別店舗に勝手に駐車する保護者さんが出てきます。事前告知しても、どうしてもそういう方はいるものです。あまりにも停車場所がない立地は近隣トラブルの元になるので、避けた方がいいです。(この辺は地域によって差がありそうですが)

北海道のuma
北海道のuma

ご近所トラブルは塾の評判を下げるので、見切り発車しないように!

アナログの地図で場所を決める

教室の場所を決める際、アナログの地図に「小学校」「中学校」「他塾」をプロットし、学区も考えながら場所を検討しましょう。高校生をターゲットにする場合、高校は学区はほとんど関係ないでしょう。

この作業はグーグルなどネットでやるのは逆に大変なので、ネットでアナログの地図を買って俯瞰したほうが便利です。

また、この地図は開校時のポスティング作業にも役に立ちます。どこまで撒いたか、予定を組みながら活用しましょう。

退職を申し出たら、すぐ行動

これらの開校準備は、退職してからではなく退職を申し出たらすぐに取り掛かりましょう。会社を辞めたら収入もストップしますから、できるだけ「退職」から「教室開校」までの時間を空けないように。むしろ良いテナントが見つかるまでは、退職をせずに長引かせるのも戦略のひとつです。

北海道のuma
北海道のuma

早く辞めて動き出したいと思いますが、収入が途切れると焦って判断力が鈍ります。あせらずに!

自己都合退職だと、失業保険はすぐには受け取れません。退職金のある会社であれば余裕があるのでしょうが、みなさんの会社はどうでしょうか?僕はゼロ円でしたが・・・。

2月末退職、3月中または春期講習でプレオープン、4月から教室開校が王道です。

念願の独立開業・・・良いスタートを切れるのを願っています!