個別指導塾か一斉指導か

開業マニュアル

個人塾を開業するにあたり、「個別」か「一斉」かの選択は今までの自分のキャリア次第で決めるのが一番です。

例えば、今まで「個別」でキャリアを積み上げてきたのに、無理に「一斉」を始めてもスキルアップまでに時間がかかり、口コミで広がる話題の塾になるまでに時間がかかります。その逆も同様の理由で避けた方がいいです。

なぜなら「個別」と「一斉」では、必要とするスキルに違いがあるからです。遠回りする必要はありません。

個別指導で必要なスキル

・1対1コミュニケーション力
・生徒の表情から察する洞察力
・生徒のノートから瞬時に行き詰まりを見抜く力
・低学力層への対応の根気強さ
・5科目すべてを指導するスキル
・学力の違う生徒の授業を同時進行で進めるスキル

一斉指導で必要なスキル

・クラスをまとめ上げるリーダーシップ
・専門性の高い教務力
・大人数相手に話を引き付けるスキル
・カリスマ性
・声の抑揚や表情などの演技力
・クラス全体をくまなく見渡せる力

僕は個別指導のキャリアだけを積み上げてきた人間なので、上記の「一斉指導」欄は雇われ時代に接してきた先生の授業を見たり接してきた印象からまとめてみました。

一斉指導でキャリアを積み上げてきた先生は誤解しがちですが、「少人数クラス=個別指導」ではありません。個別指導では、今まで接したことのないような「低学力」「意識の低い生徒」も預かることが多くなります。また、教務力でグイグイ引っぱっていく授業よりも「生徒の分からない部分をピンポイントで説明する」授業が必要になります。「教え込み」ではなく「伴走する」イメージでしょうか。安易に「一斉指導ができれば個別指導は楽勝」と考えないでください。別物です。

また、効率性という点では以下の違いがあります。

以上の点も加味しながら、利点を伸ばし欠点を補えるシステムを自由に設定し、自分の思うような教室を作り上げましょう!

僕は個別指導をずっとやってきたので、以下は個別指導に絞ったアドバイスです。

地味だけど重要!個別指導3つのルール

振替授業はどんな理由でも「前日までの連絡」が必須

理由の如何にかかわらず、がポイントです。

たとえば「体調不良は授業当日の欠席連絡でも振替OK」としてしまうと、何でもかんでも「体調不良」にされてしまいます。親もその方が授業をやってもらえて安心なわけですし。宿題が間に合わないから・遊びに行きたいから・何となく気分がのらないから「体調不良」という理由にして「明日に変更してもらう」などを認めるわけにはいきません。本当か嘘かを毎回見極めるのも難しいです。

なので入会受付の際に「入会時の約束」一覧に上記の振替ルールを盛り込み、サインをもらいましょう。ごく稀に、難色を示されたことがありますが、「わたし一人でやっているものですから、振替授業にも案内に限界がありまして、どうかご理解いただけないでしょうか?」などと伝えれば納得してもらえます。

当日連絡の欠席者は自習席で対応

とはいえ、当日休んだ分は「まったくフォローなし」だと不満を持たれてしまいます。

そこで僕の塾では「自習席に来てもらう」ようにしています。

自習席を予約してもらい、休んだ分の宿題や追加演習はセルフサービスで進めてもらいます。また、質問のある問題個所には印をつけてもらい、次回の個別指導で応対しています。

この辺のルールも「入会時の約束」に盛り込み、事前説明しておきましょう。

欠席連絡はLINEで

振替案内や欠席連絡をすべて電話ですると、煩雑になって仕方ありません。こちらの都合と先方の電話に出られる時間はそうそう合うわけではないので、僕はLINEですべてやり取りしています。

保護者連絡は個別送信はもちろん、タグ付けして学年別・学校別に一斉送信も可能。体調不良や急用の際に休講するときも全塾生に一斉送信できるので、いちいち電話連絡せずに済みます。

【公式】LINE公式アカウント - アカウント作成はこちら
LINE公式アカウント(旧LINE@)は、企業や店舗がお客様に直接情報をLINEで届けられるサービスです。特に再来店や継続的な集客を狙った情報発信をすることで、ビジネスの売上創出に貢献します。

こちらのビジネス用のLINEを無料で使っています。入会時にすべての保護者さんに友人登録してもらいます。また、自塾ウェブサイトに友人登録リンクを貼り、問合せもLINEから受けています。パソコンで応対できるので、文字入力もスマホより楽です。

個別指導の「振替」は徹底的に効率化を

個別指導ではとにかく「振替」にまつわる業務が煩雑なので、徹底的に効率化をしましょう。

また、振替授業のルールを厳格にしないと、振替だけで席が埋まり新規生徒を入れられなくなります。利益にかかわる肝なので注意しましょう。

専門性を前に出し、ターゲット層を決め打ちする

ワンオペ学習塾を始めるなら、学年ターゲット層を決め打ちした方がいいです。大手塾と差別化を図り、限られたマンパワーで高パフォーマンスを出さなければ生き残れません。

もしあなたが、「中学生の増員が得意だ」「中学受験を含めた小学生への対応が得意だ」「大学入試が得意だ」などあれば、何か1つに絞って「●●専門塾」のようにスタートしたほうが地域への口コミも広がりやすいはずです。

ワンオペ個人塾の個別指導なら、せいぜい25~30人程度(1対4の個別を想定)しか受け入れできません。あれもこれもと学年を広げるより、あなたの仕事も効率的になるはずです。(ちなみに僕の塾は「公立中学の専門塾」としています)