塾の経費は主に3つ。これらをいかに絞っていくかで利益率が大きく変わります。
- 人件費
- テナント料
- 広告宣伝費
規模を求めない経営戦略
まず1の人件費です。これは「ワンオペ」であることで、当然自分の給料以外は発生しません。
規模が大きくなるにつれて、たとえば時間講師を採用するとか、事務員さんを採用するとか、やり方はありますが、僕はそれらをお勧めしません。
重要なのは「規模を求めないこと」です。人を雇えば雇うだけ「売上=生徒数」を追いかけなければなりません。学習塾を運営した方はわかると思いますが、生徒数は1年の中でも流動的ですし、年度ごとにも流動的。もし講師を雇うと「生徒数が多いときはたくさん雇うまたはたくさんシフトを依頼する」必要があります。塾の都合でやりくりする必要があり、大半の場合は「必要な時に講師不足」というケースが起きます。
ただでさえ生徒・保護者の管理業務に追われている教室長が、講師のやりくりまでエネルギーを使わなければなりません。人を雇うというのは、金額以外に時間コストがかかることも留意しましょう。
また、事務員さんを雇うことで売り上げ入力や教材コピー、掃除などお願いできることも多いでしょうが、こちらもまた「忙しいとき」「そうでもないとき」が流動的な学習塾において、なかなか管理するのが大変です。シフトを流動的にするのは働く側にとっては負担が多く、不満も募ります。
結局、全部を自分でやったほうが「手っ取り早く」「コスパがいい」わけです。
できることは社員に任せ、生産性の高い業務だけをやるべき・・・という経営の常道は、「規模を求める経営」です。僕ら個人塾は、そちらを選ぶべきではないと考えます。
まぁ、塾をやっていると授業時間以外はわりと事務作業をやる時間は工面できます。ましてや10年も塾をやっていたら、教務面でのスキルアップに時間をかけることも少ないでしょうから大丈夫。
小さく始める
次に2.テナント料です。みなさんは学習塾を新規開校する場合、どちらを選びますか?
- 駅前の商業ビル
- 住宅街のスーパー前
僕は「2」を強くお勧めします。
駅前の商業ビルのほうが目につきやすいですし、複数の学校をターゲットにしたマーケティングができます。また、立派なテナントも多いでしょう。
いっぽうで「賃料が高い」「大手塾と競合する」のがデメリットです。また、商業ビルのテナントは大半が「敷金6か月分」だったり、礼金(契約料)も高額です。また、立ち退く場合の原状復帰に「壁紙、床、天井はすべて新品に張り替える」など特殊条件が盛り込まれていたりします。入居も退去も、高額です。
個人塾を始めるにあたっての鉄則は「小さく始める」こと。最初から高額な出費は避けましょう。リスクが高すぎます。
それに比べて住宅街のスーパー前は、テナント料が安く地元民が目にしやすいところです。対象の学校は1・2校でしょうが、「規模の経営」をせず、(前の記事に書いた通り)25人程度の生徒数を取れればいいわけですから、それくらいで十分です。
ベストなのは「1階がテナント・2階が居住スペース」です。2階を事務所兼用とするだけで、自宅を経費で落とすことができます。全額ではありませんが、例えば全部で8万円の賃料であれば、「4万円はテナント料、残り4万円のうち、その半分を事務所として経費にする」ことで、6万円を経費にすることができます。同じように自宅の電気代も按分して経費にするのがいいでしょう。
このような節約は「駅前の商業テナント」ではできません。
住宅街では例えば80名の生徒を集めることが想定できませんから、大手塾は出店(開校)できません。正社員1名と複数のアルバイトを賄えるだけの生徒数を見込めない場所では赤字になってしまいます。そういった「大手が出だしできない場所」で「小規模に運営していく」ことこそ、ワンオペ個人塾の生き残り戦略です。
折込チラシは開校3年まで
3.広告宣伝費ですが、メインは「新聞折込チラシ」です。これを最低限にする必要があります。
地域にもよりますが、講習会(春夏冬)ごとに3回折り込みます。同じ版でいいです。1回では効果が薄いので、3週連続で「狭く」折り込みます。新聞の販売店に個々に相談するのは大変なので、僕はこちらのサービスを利用していました。
折込チラシの印刷はもちろん、地域や新聞会社、日にちの指定などすべてやってくれます。デザインもフォーマットがいくつもありますので全部お任せにできます。サンプルも200部ほどもらえますので、問い合わせ用あるいは教室近隣へのポスティングに利用しましょう。
そして重要なのは「いつまでも新聞折込に頼らない」ということ。僕の地域では3回折込んで55万円かかりました。これを毎年毎年では経費がかかりすぎです。折込チラシに頼るのは開校3年までにし、あとはすべてホームページからの問い合わせにできるよう、3年間徹底的に地域のファンを増やし認知度を高めるための行動を続けましょう。具体的な行動については別のポストに書きたいと思います。